らくがき屋 みっく 特別版  クリスマスショートストーリー

あるところ

しろろ という 小さな小さな村がありました

ちいさな雑貨店が一つだけ あとは何もない村です

そこに くりす と まあす が住んでいます

くりすは、おしゃれな女の子

まあすは、優しい男の子

だけど くりす は、まあす が嫌い

だって、まあす は、いつも もっさりしてる

ちっとも おしゃれじゃないし

となりの街の はやりのお店も知らないの・・・

 

ある日

くりす は、まあす に言った

なにもない この村で、毎日同じ様な時間ばかり

まあす は、 それでいいの!?

 

 

私 そんなのいや

私は 街に行く 

街には、私の欲しい物が たくさん 揃ってる

街でモデルの仕事をするの  頑張って 絶対 アイドルになる

そして ほしい物 みんな 手に入れてみせる

 

そう言って くりす は、村を飛び出した

それから、何年たっただろう・・・

 

くりすは、本当に頑張って

キラキラ輝くレディーになった。

街一番のアイドルになった。

もう この街に売っている物で くりすの手に入らない物は 何もなかった。

高価なアクセサリー 流行の洋服 

たくさんの りっぱなお友達

有名なお店のプレゼント

おしゃれな高級レストラン・・・

なにもかも くりす の思うままだった

そして・・・今日は、クリスマス  高級ホテルで 最高のパーティー

こんなに 素敵な毎日なのに・・・

なのに どうして?

わたし なんだか  つまらない・・

素敵なプレゼント いくら もらっても 最近 すぐに飽きちゃうの・・・・

 

去年のプレゼント   思い出せない・・・

大切な宝もの それさえ 思いつかない

何を もらっても 何をしてても つまらない・・

 

そして だんだん かなしくなってきた

 心の中が からっぽで つめいたい風がふいてるみたい

 

さみしい 

たくさんの人の中

私 まるで ひとりぼっち ・・・・

 

 

くりすは、パーティー会場を抜け出した

 

どれくらい歩いただろう

気づくと雪の中 なつかしい景色 

わたし しろろ村へ 帰ってきたんだ

 

あれほど きらいだった村・・・・

振り向きもせず 飛び出した村

雪のふりつもる まっしろけっけの しろろ村

ふと見ると 白い雪の中 ふわりと湯気がたっている

そうだ あれは、まあす の家

年の暮れは いつも 村のおいしい餅米を炊いて

まあす が  おもちをついてくれたっけ・・・

 

すると  まあす が くりす に気づき 手をふって言った

「くりす!!」

「おかえり!! くりす!!」

「今、つきたての おもちを あげるよ。  君の好きな のりを巻いてね 」

久しぶりのあいさつもなく すぐ そう言い出す まあす

そして

「さむかったろ? さ 温かいうちにたべてごらん」

 

 と おもちを運んできてくれた

その まあす を見ると

「あらっ まあす」

「あなた すっかりおじいさんになってる!」

くりす は びっくりして よくよく 見ると ・・・

まあす の まゆげ と頭 そして鼻の上に雪がつもっている

その雪がまるで白いひげや白髪のように見えるのだ


うふ ふ あははははははは・・

いやだ まあす ったら  まゆげ にまで 雪がつもるなんて・・・・

あはははははあはははっは・・

くりすは、久しぶりに おなかが よじれるくらい笑った

 

そして まあす のまゆげにつもった雪 と頭の上につもった雪を

笑いながら  はらってあげた

最後に残った鼻の上の雪を

まあす が 自分で ぶるぶるっと ふるいおとすと・・・・

ほら  なつかしい あの まあす

くりすは、笑い終わると すこし あったまった心で

まあす が 持ってきてくれた おもちを食べた

 そのお餅は どんな高級レストランの料理より おいしかった

「ありがと  まあす」

 あたたかい ふわっとした心の玉が 胸の奥から こみ上げて

涙になって こぼれた

 

その時 くりすは、 気がついた

くりす のサンタは、ここに いたんだ と

 

くりすのサンタは、やさしい まあす

メリー クリスマあス

 

ありがと まあす

わたし また 街に行って もう少し がんばるね

 まあす がここで待っていてくれるから 

自分だけの為じゃない 応援してくれる まあす の事を おもいながら

 

  くりすは その時 初めて 知った

大切な誰かの為なら  もっと強くなれるんだ

 

時々 帰ってくるからね

いつまでも そのままの まあす で いてちょうだい

サンキュウ メリークリスマあス

 

くりす と まあす のクリスマス

 

おしまい

 

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